力を合わせて、街を元気に。
大家業は、究極の地域ビジネス。

建設・不動産業界で20年以上のキャリアを有する原田哲也さんは、北海道でその名を知られる賃貸オーナー。会員900名を超える「北海道大家塾」の代表であり、新築アパートや任売、競売、売却等数々の経験をしている現役の大家さんです。

原田哲也さんの画像

お客さんに販売する予定の物件を自ら買い取ることになり、ひょんなことから賃貸オーナーになった原田さん。現在では3棟28世帯を経営する現役大家さんです。建築・不動産業界で長いキャリアを持つ原田さんならではの賃貸経営術や、オーナーとしての現在の想いについておうかがいしました。

原田 哲也(はらだ てつや)オーナーズビジョン株式会社 代表取締役 / 北海道大家塾 代表
昭和47年(1972年)北海道北見市生まれ。大学在学中に宅地建物取引主任者(後の宅地建物取引士)の資格を取得し、建設・不動産業界に進む。ハウスメーカー、アパート建設専業メーカー、新築投資アパートの企画・販売などの職を経て2010年1月に不動産コンサルタント会社「オーナーズビジョン株式会社」を設立。主催する北海道大家塾の会員数は900名を超える。
オーナーズビジョン株式会社
北海道大家塾

いきなり借金7200万円。ある日突然賃貸オーナーに。

ー 原田さんは、この業界で長いキャリアをお持ちとお聞きしました。
原田: はい、私は20年以上にわたり不動産に関わってきました。大学卒業後、ハウスメーカーに就職し建設営業、その後地主さんに向けた土地活用やアパートの建設営業、それから新築投資アパートの企画・販売などに従事し、サラリーマン時代に大家業をスタートしたんです。
ー 賃貸オーナーになるきっかけは意外なものだったそうですが、当時のことについてくわしくおしえてください。
原田: 不動産の投資家に対して、土地と建物をセットで売る新築投資アパートの企画・販売の仕事をしていたとき、物件を買われる予定のお客さんが直前になってキャンセル。──体調を崩したことで、団信(団体信用生命保険)に入ることができなくなってしまったんです。
ー そのことにより、アパートローンの融資が下りなくなった。
原田: はい。それで、自分で買うことにしました。もともとお客さんに勧めていた案件なので、当然いい物件だという自信はあったものの、借入金額は7200万円。当時、結婚したばかりの妻に保証人になってもらったり、借金することにプレッシャーがなかったというとうそになります。
ー かなり大きな賭けでもあった。
原田: そのタイミングでドーンと背中を押されたというかんじです(笑)。まさか自分で買うとは思っていなかったけど、新築はちゃんと埋まる物件で、しっかり収支さえ回っていれば問題ないというのは分かっていましたから。今でも付き合いのあるお客さまであり先輩でもある方に、かつてこう言われたんですよ。「大家業は、自分でやってみないとわからないよ」。もしかしたら、そんな一言にもどこかで影響されたのかもしれません。

隠れた「優良物件」を見つける秘訣とは?

ー 続いて2009年に2棟目を取得されました。
原田: 不動産情報サイトで、なんとなく気になった物件があったのですぐに見に行きました。札幌から車で約43kmの小樽にある物件。場所は良いのですが、管理状態が悪く、避難ハッチは錆びてボロボロ。内部の清掃も行き届いておらず、共用部には汚れが目立ち、空室はボロボロでカビだらけのひどい状態でした。
ー そこまで、状態の悪い物件を取得しようと決めたのはなぜでしょうか。
原田: 独立を視野に、投資価値のある「歪み」をもった物件をずっと探していました。
ー ポテンシャルは高いものの、人が見逃しているような物件。
原田: そうです。実際に見てみると思った以上にボロくてびっくり(笑)。ですが、そのアパートは旧住宅金融公庫の物件であり、立地条件に恵まれていることや、オーナーの知識不足、モチベーション不足によって本来のパフォーマンスが出せていないと思いました。リフォームをしっかりと行ない、管理をしっかりと行ない、しっかりと募集すれば「必ず再生できる」と確信したんです。職人経験のある先輩にも状態を確認してもらい、「これは直せる」と太鼓判をもらって自信が持てました。
ー どういった修繕計画を立てましたか?
原田: 外壁の塗り直し、防水工事、共用部の刷新、物置の新設、空室のリフォームなどの修繕を重点的に行いリニューアル。物件名も変更しました。入居者の第一印象を決定づける外観は、建物の外観写真をパソコンに取り込み、標準のペイントソフトで色を乗せて完成イメージを確認。そうやってきれいにしたら、すでに入居されていた方にもすごく感謝されましたね。

ピンチを乗り越える、特別なアイデアが生まれる理由。

ー その後原田さんは独立し、法人<オーナーズビジョン株式会社>を設立。2012年には4棟目の物件を取得されました。
原田: はい。2DKの木造のアパートでしたが、なかなか入居者が決まらなかった。賃貸の市場にもなぜか情報が出回っておらず、部屋を埋めるのに苦労したことをおぼえています。
ー その当時は、どのように乗り切りましたか?
原田: 管理会社の社長と担当者、仲介会社の社長を交えてミーティングを行いました。食事をしながら、お互いに情報交換をしているうちに、リフォームの方向性がちがうんじゃないかということになって。
ー ターゲットとなる入居者は、別にいる。
原田: ええ、すでに住んでいる人も年配の方が多く、ここを若い人に向けてPRするよりも思い切って高齢者に絞ってみようということになりました。
ー そこで、具体的にどのような施策をとられたのでしょうか。
原田: 入居費用をゼロにして、保証会社も不要としました。そして和室を洋室にリフォームせず畳のまま残したり、万一自宅で倒れても安心なように室内に見守り設備をつけたりと独自性を出すように工夫しました。
ー すると、ほかの物件と差別化されて目立ちますね。
原田: ところが、そういう物件を探している人というのは情報に強いわけではない。目に触れること自体がむずかしいんです。ですので管理会社のほうでチラシをつくって年配の方が集まる場所で配布してもらったりと、地道な広報活動の末に入居者が決まりました。
ー そういった状況を乗り切れたのには、どんな理由がありますか?
原田: 賃貸経営で大切なことは、大家としての「経営知識とモチベーションと人脈」だと思います。自分自身はもちろん、関わる人たちのモチベーションを高めて、その場が前向きになる雰囲気づくりを心がければ「こんなのどうですか?」と、ピンチを乗り越える特別なアイデアをもらえることもある。よりよい関係を築き、みんなが気持ち良く仕事できる環境づくりは大切だと思います。

いい仲間との出会いは、財産になる。

ー 原田さんが立ち上げた「北海道大家塾」について、おしえてください。
原田: 北海道で賃貸経営を成功させるための勉強会であり、大家さんたちのコミュニティーです。受講だけではなく、オーナー同士の交流もできるように懇親会も開催しています。もともとは、賃貸経営の知識を学べる検定制度「賃貸経営実務検定(通称:大家検定)」を学ぶ「大家検定北海道支部勉強会」として発足し、現在では会員約900名を抱える「北海道大家塾」として運営しています。
ー 長く運営されているなかで、どのような変化がありましたか?
原田: そこで学んだ人たちが、私の重要なブレーンに育ってくれました。地元の大家さんをはじめ、管理会社の方や一級建築士の方など、いい仲間に出会えて様々なつながりができ、大きな財産になっています。
ー 原田さんが賃貸オーナーとしてデビューして10年。賃貸経営という仕事の魅力について、現在どのように感じられていますか?
原田: 入居者さんに感謝されるような仕事は楽しいと思います。クレームは辛いですが(笑)。賃貸経営によって安定した収入が得られるという個人的な満足から始まりましたが、運営していくにしたがってそこに住む入居者さんが居ることを強く意識するようになりましたね。
最終的には、大家業というのは究極の地域ビジネスだと感じています。その物件を良くすることが、ひいては街を良くすることにつながる──そのような大きな目線で経営する大家さんになりたいと思います。

ここがポイント!原田さんの話のツボ。

  • 「歪み」のある物件のなかには、隠れた「優良物件」も。
  • 自分自身はもちろん、関わる人のモチベーションを高めて前向きな経営を!
  • ターゲットにより広告する場所や媒体が変わる。入居者層を徹底的に考える。
  • いい仲間との出会いは財産である。

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