トップを走り続けた女性の信念は、
「喜んでもらえることに、一生懸命」。

不動産・建築業界に約30年前から携わってきた福丸利津子さん。元不動産賃貸の営業スタッフとして何度もトップの成績をおさめるなど、輝かしい経歴の持ち主である彼女の原点の思いに迫ります。

福丸利津子さんの画像

福丸利津子さんは、地元関西で華々しく活躍した元トップ営業スタッフ。約30年に及ぶ不動産業界での豊富な経験を活かし、女性のための「売りたい・買いたい」を応援するコンサルティング会社「アトリエハウス」を設立するなど精力的に活動中です。

福丸 利津子(ふくまる りつこ)株式会社アトリエハウス 代表取締役 / 白ゆり大家の会 主宰
賃貸仲介会社に入社後、3ヶ月後には一日で10件の契約を上げるなど年間300件以上の賃貸仲介契約の実績を誇る。また、不動産売買・企画営業から建築計画のサポートまで幅広く不動産に携わり2014年に株式会社アトリエハウスを設立。長年培った経験と、女性目線の提案力をもとに賃貸オーナー育成講師、不動産業者への意識改革に関しての勉強会や講座を行う。
株式会社アトリエハウス

「営業をする」のではなく、お客さんのために提案をする。

ー 不動産業界で約30年の豊富なキャリアを持つ福丸さんですが、新人時代は大変苦労をされたとか
福丸: 修羅場だらけです(笑)。とにかく、私には不動産の仕事は向いていないと思いました。人前に立つのが本当は苦手なんですよ。今ではみんな、『絶対うそや!』って言うんですけど。人見知りをするんです。不動産賃貸仲介の仕事をはじめたときも、最初の3ヶ月間はどうしていいか分からず、なかなか結果を出せずに泣いて過ごしました。
ー 不遇の時代、どのような試行錯誤を行いましたか?
福丸: 上司に聞いても『物件のことを説明したらいいだけや』と言うだけで何も教えてくれない。だから、ほかのスタッフのいいところを見て、「この人のこの部分を真似しよう」と、見ておぼえて、自分なりのやり方に落とし込めるかどうかを必死で考えていましたね。
ー 苦手意識を克服して、浮上するきっかけは?
福丸: 『営業をしている』と思うから緊張するのであって、『お客さんのために提案する』という風に意識を変えてやってみたら、気持ちがぐっとラクになったんですよ!「こうすればもっと喜んでもらえる」ということに対して、一生懸命努力する。そこからどんどん契約が取れるようになり、エリアでトップの営業成績をおさめました。もしかしたら、それが自分のなかでスイッチが入った瞬間だったのかもしれません。

すべてをさらけ出して伝えることで信用してもらえる。

ー 契約を取るために行った福丸さん独自の方法についておしえてください。
福丸: お客さんが何を望んでいるかということを、きちんと考えることですね。そのために物件のことをできるだけ多く知る。駅から物件まで道のりだけでなく裏道や抜け道、お得なスーパーの情報、評判の良い病院、通学区の小学校の教育方針──それを頭の中にインプットしておいて、お客さんにぴったりのものを提案していく。
ー 近所の、おせっかいなおばちゃんみたいな。
福丸: そう、関西のおばちゃんのノリで(笑)。『近所のお店のこのメニューがおいしいみたいやで〜』とか、親身になって教えてあげるとお客さんも喜んでくれる。
「どんな家をお探しですか?」と聞くと、たいてい最初はみんな「駅チカで、新築で、家賃が安くて…」と言う。ないんです、そんな都合のいい物件は。だけど、相手と同じ目線に立ってよくよく話を聞いてみると「賃料」「交通利便性」「子育て環境」などそのお客さんが本当に大事にしたいものの優先順位が見えてくるんです。そうするとより適確なアドバイスができますよね。
ー かつて保育士をされていた経験も役に立っている?
福丸: 公園の情報まで、私はなんでも教える(笑)。もったいぶらず自分の持っているもの全部お伝えするので、「この人は信用できる」と思っていただけたのかもしれません。

ターゲットを徹底分析。ヒントはかならず現地にあります。

ー その後福丸さんは賃貸営業での実績を認められ、ヘッドハンティングを受けて入社した会社で仲介や建築部門の法人を設立したりと八面六臂の大活躍。当時はかなりお忙しかったのでは?
福丸: 走り抜けるような感じでしたね。一日のうち昼は不動産の営業、夕方は社員教育、夜は契約書の作成。休みといえば、1年のうちお盆と正月ぐらい。私は早くに両親を亡くしているのですが、当時は両親の医療費や介護費用を稼ぐためにとにかく働き続けるしかなかったんです。
ー 一方でいろいろなトラブルにも巻きこまれた。
福丸: 私としては必死で働いていただけなんですが、誤解されたり、裁判沙汰に巻きこまれたこともあります。それで一度この業界も人間もいやになり、四国八十八箇所のお遍路を巡礼して、短期間だけ保育士の仕事に戻ったこともあるんです。子どもをぎゅっと抱きしめると、きれいな魂がこっちに移ってくる。それで再び生き返ったような気持ちになって、私は私の道を行こうと思いました。
ー そして、2014年に独立して、不動産などのコンサルティングを行う「株式会社アトリエハウス」を立ち上げた。空室に悩む大家さんには、どんなアドバイスをされていますか?
福丸: 私の場合はまず現地を見ます。刑事じゃないけど、ヒントはかならず現地に落ちているという確信があるんです。駅までの道のりや、外観、エントランス、各部屋の間取りや設備。それらを細かくチェックしたうえで、どんなお客さんをターゲットにするのかを徹底的に分析していきます。問題があると、『自分の子どもを、このアパートに入居させたいと本気で思うか?』と大家さんを叱りつけることもあります(笑)。
ー 賃貸経営サポートも有効活用されているとか
福丸: はい。相談に来るオーナーさんにも『これを見て勉強しなさい。しかもタダやで』って宣伝してるぐらい。すごく、ヒントになると思うんです。エリアの競合する物件と比べて、自分の物件にどんな設備が必要なのか。費用対効果を考えながら上手に活用してほしいですね。

これまでの経験を活かして、困っている人を助けたい。

ー 福丸さんは2016年に女性大家さんと賃貸経営を学ぶ『白ゆり大家の会』を発足されています。この会の設立した理由についておしえてください。
福丸: これまでの大家さんの会は男性が中心のものが多く、女性には参加しにくい雰囲気がありました。しかし賃貸経営に関わっている女性の数は多く、年々増えている印象があります。そんななか女性大家さんたちが気兼ねなく情報収集や意見交換をできる場を目指して「白ゆり大家の会」をはじめました。これまでの私の経験が、少しでも皆さんの役に立つよう伝えていきたいと思っています。
ー 今後はどういった活動を考えられていますか?
福丸: いつか、離婚などによって一人で子どもを育てている母子家庭が安心して住めるシェアハウスをつくりたいですね。そこで子どものお世話をしたり、お母さん自身の教育を通じて社会復帰をサポートできるような場所にしたい。根は、おせっかいで世話好きなおばちゃんなんです(笑)。だけど、与えることで喜んでもらえたら自分が幸せやから。それで、私がこの世にいなくなってから、ときどき思い出してもらいたいんです。「地元におもろいおばちゃんおったなあ」って(笑)。

ここがポイント!福丸さんの話のツボ。

  • こうすれば、もっと喜んでもらえる」ということに対して、一生懸命になる。
  • 信用を勝ち取る方法は、自分をさらけ出して誠実に伝えること。
  • ターゲットの入居者を分析するヒントはすべて現地にある。
  • 与えることで、喜んでもらえたら自分がしあわせ。

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